TOPICS
イベントのまとめと感想
2026年度 人文・社会科学系大学院生のステップアップキャリア形成 Advanced COLA 参加レポート
2026.08.17
このイベントは,大学院重点化政策以降,博士課程修了者が増える中で,その後のキャリアを広げるために北海道大学の文学研究院がはじめた全学的なイベントだそうです。
人文・社会科学系を専門とする博士学生の多くにとって,どのように自らのキャリアを切り開いていくかは共通の課題だと思います。特に,実社会での活躍を目指す場合,得た知見やスキルをどのように役立てられるかを見出すのは難しいと言われてきました。近年こそ,AI開発領域で人文知の意義が重視されているように,文系博士の知見やスキルに対する社会の期待や理解が深まり,活躍の場が増えつつあるようです。しかしながら,自身の専門性と社会の具体的な接点を見出すことは,依然難しいと感じてきたところでした。そういった意味で,今回のイベントは,先達のキャリアから重要な示唆を得られる貴重な機会となりました。
登壇者の方の個人的な話を含むため,詳細をお示しできないのは残念ですが,それぞれが社会の各所で活躍されてきた経験からは,自らの関心や思いに基づいてキャリアを形作ってこられたことがうかがえました。そして,職業はあくまで手段であり,大切なのは自分自身が何をやりたいのかという点だと理解することができました。この点は,研究と向き合う姿勢にも通じるものだと考えます。単に自分が知りたいから研究をするだけでなく,なぜそれを知りたいと思うに至ったのかを掘り下げ,そのうえで,研究を通じて何を成し遂げたいのかを考える必要があると気づかされました。
また,文系学問で培われる,文字と格闘し,複雑な事象を読み解き,本質的な課題を設定して解くという能力が,自らのやりたいことを社会で実現するうえで役立ったというお話もありました。この点からは,これまで博士号を活かせる職業が狭く捉えられていたのではないかと考えるようになりました。博士号を活かすことは,必ずしも自身の専門分野に直接対応する活躍の場を得ることだけではなく,研究を通じて培った能力を,自らが実現したいことのために活かすことでもあると感じました。
今回のイベントを通じて,自分が研究を通して何を実現したいのか,研究で培った能力をどのように役立てられるかを考えることが重要だと改めて気付かされました。自らの専門性を大切にしながらも固執するのではなく,研究の過程で身につけた思考力や課題設定力,調査・分析力,そして伝える力を改めて捉え直す必要があると考えます。私自身,政治学でも有権者の参加や行動を専門とし,研究を通じて民主主義社会の発展に役立てないかを考えてきましたが,より広く社会のニーズにも目を向けながら,社会と自分との接点を探り続けることが,幅広いキャリアの可能性を広げることにつながると思いました。
研究を着実に進めつつ,なぜこの研究に取り組むのか,研究を通じて何を実現したいのかをニーズとともに意識していくことは今後の私に残された課題であると思います。アカデミア・実社会を問わず,さまざまな立場の方々と交流し,研究で得た知見や能力を社会にお返ししていけるよう,引き続き励んでいきたいとの思いを新たにする機会となりました。
髙塚幸治(人文社会科学研究群博士後期課程2年)
| トピックス一覧に戻る |
Next |