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筑波大学の研究室紹介
【行動デザイン研究室】ー目に見えないものを見える化するー 人の行動を客観的な指標により把握する
2022.02.22
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行動デザイン研究室
担当教員: 松田 壮一郎 助教
Site: https://sites.google.com/view/behavioraldesign/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0
応用行動分析学を基礎とし、人と人の相互作用を理解し「多様性」が「障害」にならない社会環境の実現に向けた行動のデザインを目指し、実験的アプローチによる自閉スペクトラム症未就学児の早期発達支援研究や保護者への子育て支援研究を進めている。実験参加者の注視する位置を測定する眼球運動測定装置(アイ・トラッカー)、人間とのコミュニケーションを主眼に置いた人間をサポートするソーシャルロボット、2者間相互作用を計測するウェアラブルデバイス等を活用した研究を、学内外の研究者と協働して進めながら、次世代の行動デザイン研究を推進している。
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【博士インタビュー】
人間総合科学研究群 心理学学位プログラム
博士後期課程1年
藤間さん
Q:藤間さんの研究についてお教えください。
藤間さん:場面緘黙の研究をしています。どういう条件だと話しやすく、どういう条件だと話しにくいのかということを明らかにするため、条件を実験的に操作して、何が発話に影響するのかを研究したいと思っています。私が研究対象としているのは、昔、場面緘黙の症状があったが、今は話せるようになっている人です。今、計画しているのは、単一事例研究計画法です。同一個人に対して繰り返し測定を行い,条件間で測定値を比較します。子どもの頃に場面緘黙を経験し、改善はしたものの、現在でも発話の苦手さによって困っているという人々がいます。このような人々の存在は世間的にはあまり知られていません。子どもの頃に場面緘黙だった人の発話行動が、様々な条件でどのように異なるのかを示したいと思います。
Q:研究を始めたきっかけをお教えください。
藤間さん:大学1年の授業で場面緘黙の話を聞いたことです。どのような状況が場面緘黙児・者,場面緘黙経験者の発話に影響するのかについて、明らかにできたら良いと思っています。場面緘黙児・者が話せるようになるための個人に対する介入は行われていますが,話しやすくするための環境に対する介入が不足していると思ったので、私は環境について研究しようと考えました。条件によって行動が違うという点が、他の疾患ではあまりなく、場面緘黙の興味深い点だと思います。
Q:研究室に入ろうと思ったきっかけは、いかがでしょうか?
藤間さん:指導教員の先生は、もともと場面緘黙を扱っていたわけではありません。応用行動分析学に基づき、主に自閉スペクトラム症児を対象に研究している先生です。応用行動分析学の枠組みで場面緘黙について研究したら面白いと考えて入りました。
Q:研究内容が生活の中でどのようなことに活かされていますか?
藤間さん:個々の研究で得られる成果は細かいことだと思うので、それが直接、社会の役に立つかはわかりません。しかし、話しやすい環境とはどのようなものか、という問いの解明に迫る研究を積み重ねていくと、話すのが苦手な人にとっても少しでも話しやすい環境を作ることにつながると思います。未だ話しやすい環境がどのような環境かがわからないため、探索的な研究になると思います。
Q:研究室の特徴についてお教えください。
藤間さん:実際の行動を客観的に計測しているという特徴があります。主観的な報告だけだと歪んでしまうという欠点があります。松田先生は「見えない心理的な構成概念を使うよりも、客観的に観察できるもので記述しよう」とよくおっしゃっています。また、ゼミの構成員が多様性に富んでいるという特徴があります。研究分野や第一言語が異なる人々が参加しています。ゼミの中では日本語と英語の2言語が使用されています。
Q:研究室の雰囲気は?
藤間さん:指導教員の松田先生は柔軟な方で、自由な感じです。みんなと同じことを求めることはあまりなく、自由にのびのびとできる感じです。メンバーは、後期課程1名、前期課程3名、学類生4名の計8名です。研究室が発足した2020年度にコロナが流行し、ゼミは開始当初からやむを得ずオンライン中心ですが、あまり違和感はありません。チャットも使用でき,質問等がしやすいです。
Q:行動デザイン研究室で注目の研究についてお教えください。
藤間さん:本研究室は幅広い分野の様々な研究を行っていることが特徴です。例えば、経験サンプリング法で、日々の出来事と幸福度を日常生活の中で繰り返し計測し,出来事と幸福度の関連を調査しています。他に、大学生の睡眠習慣や乳幼児と母親の相互作用について、社交不安と視線運動の関連について研究している学生もいます。ゼミで他の学生の発表を聞いていると、色々なテーマの研究を知ることができ、興味深く面白いと感じます。
Q:藤間さんのご自身の強みについては、いかがでしょうか?
藤間さん:大学4年生の時から場面緘黙をテーマとして研究し、外部の人とも研究会や勉強会でディスカッションをしてきた経験から、場面緘黙に関する知識が身についていると思います。場面緘黙の自助団体「言の葉の会」(2018年3月設立、会員116名)の設立や運営に関わっています。また,「かんもくラボ実行委員会」という団体の設立や運営に関わっており、年に2~3回、場面緘黙の研究会や場面緘黙研究をしている人々との交流会を行っています。さらに,場面緘黙の研究をしている学生や研究員等とともに、2か月に1回論文の講読会を行っています。これらの活動に関わったことで、困難な課題に対応する力や、わからない時にすぐに聞いて解決する力を身につけることができたと思います。
Q:藤間さんのキャリアパスについてお教えください。
藤間さん:研究も続けていきたいと思いますが、どういうところで働きたいかを考えているところです。場面緘黙からはずれるかもしれませんが、行動デザインに関する分野で、研究も続けられる環境を探していきたいとも思っています。
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