TOPICS
イベントのまとめと感想
TGSW2024-③(糸井風音):充実感をもって、社会に貢献するために
2024.10.30
先日、TGSWの一環として開催されたシンポジウム「博士人材が拓く新しい時代」に参加しました。私は情報保障アシスタントとして進行のお手伝いをしながら、講演を拝聴してきました。
講演は、博士号取得者のキャリア選択や仕事の充実感について具体的なデータや分析結果もとに、政府・企業・大学、それぞれの立場からの視点で現状の取り組みと課題、そして今後の展望が議論されるものでした。これまで経験談や感覚に頼って語られてきたようなことが、データをもとに”evidence based”で深く掘り下げられていたり、職務に対する満足度のメカニズムについて科学的に理解されていた点が印象的でした。
講演の詳細についてはここでは触れませんが、興味のある方はぜひ一橋大学の吉岡徹先生の著書や研究内容を見てみてください。以下には、わたしが勉強になったこと・感じたことを共有させていただきます。
まず、キャリア選択における、「マッチング」の大切さが強調されていました(「何度も言っている(言われている)よ!」と思った方、わたしの勉強不足ですみません)。わたしが講演で学んだキーワードは、「フィードバックループ」です。一般的に、博士号取得者の仕事への満足感には、報酬よりも能力向上の機会に恵まれていることがより重要とのこと。能力向上の機会に恵まれることで、職務に対する満足度が高まり、さらなる新しい挑戦へとつながる、そして次の能力向上の機会をつかみとれるという正の「フィードバックループ」が充実した働き方を形成するカギとなるそうです。反対に、能力向上の機会に恵まれず、挑戦が抑制されると、不満ばかりに…。結局のところ、自分の専門性やスキル、パーソナリティとぴったりあう環境や職務内容を選ぶことが、キャリアの充実感には欠かせないのだ、ということをあらためて学びました。
また、これは以前から耳にしていたことですが、社会で活躍するときには、「とんがった能力(=専門的な能力)」とともに、汎用性のあるスキル、第一にコミュニケーション能力が強く求められていることも実感しました。日々研究活動をしていても、研究内容について、こどもからお年寄りまで、誰にでもわかりやすく伝えることは悩ましい課題といえます。まずは、この力を磨いていくことで、コミュニケーションスキルの獲得につなげていきたいです。※次に帰省をしたときに、自分の研究について家族に興味を持ってもらえるように、説明してみよう!と思いました。
最後に、日本の新卒一括採用制度と博士号取得者の就職活動の相性の悪さについて、議論が展開されていました。この点は、産業界への就職を見据えると、非常に難しい課題です。私はまだ1年生なこともあり実感がないですが、就職活動ではこの壁にぶち当たりそうだな、と怖くもなりました。長期的には、伝統的な制度の改善にも期待したいですし、将来的には尽力していかないと!とも感じました。残念ながら、いまの私にできることは、研究能力を含めて自分自身が社会に貢献できる力をしっかり身につけていくことだけです。いつかは制度や環境の改善にも貢献できるように、日々努力を重ねていきたいです。
全体としては、自分(だけでなく、学生の)のキャリアについて真剣に考えている人々の姿を見て、「もっと努力しなければ!」と気が引き締まったり、「困ったときは積極的に誰かに頼ってみようかな」と前向きに感じることができたシンポジウムでした。シンポジウム後の懇親会では、博士人材の育成と活躍のために日々尽力されている方々や、人材活用に関心を持つ企業の方々、そして学生の皆さんと、密度の高い話が尽きず、とても充実した時間となりました。
(システム情報工学研究群社会工学学位プログラム 博士後期課程1年 糸井風音)
※2024年度博士後期課程学生支援プロジェクト採用生

|
Prev |
トピックス一覧に戻る |
Next |